What's ポルシェ 911 Turbo



ポルシェターボ、空冷フラット6のエンジンをリアに積み、世界中の誰からも最も秀逸なスポーツカーとして知られるポルシェのフラッグシップである。
ポルシェはフェルディナント・ポルシェ博士が家業の金属細工のかたわら、興味のある機械の勉強に熱中し、名だたるヨーロッパの自動車会社の重責を経て、設計事務所からはじめた会社である。第二次大戦前に国民車として開発し、大戦後にフォルクスワーゲンとして世に出た車、そのコンポーネンツを小型スポーツカーとして完成させたのがポルシェ356であった。およそ17年間生産された356の後継が、今やポルシェといえば911といわれるモデルである。ポルシェ911は1963年のフランクフルトモーターショーにポルシェ901としてプロトタイプがお目見えした。しかし、この901はプジョーが商標登録(3桁の真中が0の数字)をしている関係上911と改められた。この後のナローからビッグバンパーへのポルシェヒストリーは他に任せるとして、ポルシェの生い立ちを簡単にご紹介したが、なぜ、ポルシェにターボなのか。人によればあのコンパクトなスポーツカーとしてのボディラインを崩してまでターボを作った意味を理解できない方も多いという。フラッグシップでありながら、とかく一時的な話題にとどまるターボ、NAこそポルシェという人も少なくない。しかし、911turbo-clubはそんなポルシェターボの魅力に惹かれるものの集まりである。グラマラスなボディこそ魅力であり、陶酔するようなターボエンジンこそ魅力なのである。そのポルシェターボは如何にして誕生したのであろう。
1973年のフランクフルトモーターショーに極太のダンロップレーシングを履いたシルバーメタリックの911が展示された。しかし、この911は誰が見ても只者ではない様相を呈していた。極太のダンロップは前後に大きく張り出したオーバーフェンダーに収められ、最高出力280HP、最高速度280Km/hというにわかには信じがたい数値であった。
そして翌年のパリ・サロン1974年に、正式にポルシェのカタログモデルとし、ポルシェ930ターボが追加されるのである。
930ターボのテーマの前にひとつ、ポルシェが最初に搭載したターボは何であったのか触れておきたい。
実はポルシェがターボチャージャーを導入しようとしたのは、1969年頃であったらしい。
当時の911はナロータイプでそれまでのソレックス・ウェーバーのキャブから、ボッシュ・メカニカルインジェクションの採用で2Lで170HPを叩き出した。この2Lエンジンへの開発は具体的には実行されなかったようだ。
もう少し話を突っ込むと、ミヒャエル・マイというエンジニアが出てくる。彼はスイスの若き有能エンジニアで、スイス工科大学で熱力学を専攻していたという。そして彼はポルシェでターボの基礎実験を開始し、1963年にはフラット6ターボを実用域まで完成させたという。しかし、現実にはなかなか実用化されず、彼はポルシェを止めてターボチューナーとして独立したらしい。
そして1969年に先の開発、というより基礎研究がおこなわれたのであった。
そして、初めてのターボ装着車の登場はやはりレースであった。1972年のグループ5の排気量3L以下へのレギュレーション変更により、これまで12気筒4.5Lエンジンを搭載し、チャンピオンシップを獲得してきた917/10は出場できなくなった。手っ取り早いエンジンの高出力、高トルク化は、排気量アップであったが、ライバルチームに対して3L以下のポルシェのエンジンは非力であった。しかし新しいエンジンの開発までの余力はなく、舞台をCam-Amに移したのである。アメリカにおける宣伝効果の期待もあり、ポルシェは更なる917の戦闘力アップをはかるためターボ化となったのである。当時のターボはレスポンスが鈍く、立ち上がりまでに時間がかかった。俗に言うターボラグである。直線ばかりのコースであればよいが、コースによってはこのターボラグの解消が重要な意味を持つ。12気筒の917は片側のバンクに1つずつ計2基のKKKターボを装着した。ポルシェwithKKKturboの始まりである。
ターボラグ解消のため917はブローオフバルブを装着した。ブローオフバルブはスロットルを戻した際、インテークの中の圧力が高まり回転を落とすのを防ぐため、過給気を大気に開放するものである。そして917/10は実に1100HPの出力を叩き出していた。

1976年より量産型モデルののチャンピオンシップが始まり、いよいよ911ベースのターボ付きレーシングカーが開発される。
930ターボにより量産車レースのホモロゲーションを取得したレーシングポルシェターボがカレラRSRターボである。レギュレーションにより過給器付きエンジンは排気量を2.14Lに収める必要があり、911の各エンジンバリエーションから部品をチョイスしRSRターボは完成した。
圧縮比6.5:1、ボッシュメカニカルインジェクション、KKKターボ1基、ブースト1.2〜1.5kg/cm2、出力は510HP/7600rpmであった。そしてこのRSRターボにはインタークーラーも装着され。その姿はまさにレーシングポルシェ911ターボの原型として脳裏に焼きついた。


